眠りにつくまで

扇風機を押入れから出して、つけた
知らない間に夏だったのが怖くて、強がりで扇風機を出した
工夫してベッドの近くに置いた
ホコリが溜まってるのに気づかないで電源を入れたから、ホコリは舞い上がった
布団に落ちた、あ、かわいそう
涼しい風、きもちいい
布団から手とか脚を出して冷たい布団をパタパタ叩いた、きもちいい

じゅうぶんはしゃいで、やっぱり冷えてきたら布団をかぶる
そしたら安心する、ウトウトしてきた
布団の中はどこなのかなって、もぐって、覗いてみた
まず台湾、布団の中は台湾になった
台湾の屋台がたくさん見えて知らない人に話しかけられた
なぜかじぶんも台湾語をスラスラ喋れた
今度はどこかの工場だった
太い煙突から煙がモクモクと出ていく
それを、息をしないでずっと見つめていた
いつのまにか知らない倉庫に身体ごと放り出され、ザラザラした床に左頬がぶつかった

布団の中は危険だ
眠剤を飲んでからたしかに30分は経過した頃、布団をかぶったところでうたた寝し、変な夢を見て変な体勢で目覚めた
追いてかれる、追いてかれる、まって
また追いつけなかった