やる気なし

新幹線で東京に向かっている途中、窓の外の知らない街をぼんやり眺めていた。数え切れないほどの(数える気になるものでもないが)家が建ち並んでいた。まったく意味不明だった。こんなにたくさんの人たちがこの世には存在していて、それぞれ何かしらの理由でここに家を建て、暮らしている。いつも自動車で法定速度を遵守しながらちびちびとした生活をしている自分が、いまはよく分からない速さで移動しながら、そんな数え切れない暮らしを眺めている。まったく意味不明だった。そして怖かった。せいぜい2時間程度の移動時間に目の当たりにした光景に過ぎないのだが、自らの存在の小ささを理解するには十分すぎた。なるほど、人がひとり死んだくらいでは世の中は何も変わらないわけだ。必死に生きていることが馬鹿みたいだった。でもなぜかみんな必死に生きているのだ。