金のつぶつぶ

そばを茹でた。お昼ごはんにそばを食べようと思ったから。

冷蔵庫の中はぎゅうぎゅうで、いつ食べたか忘れてしまった缶詰の開いたのとかもある。
さっき買ってきた紙パックのジュースをいれる場所がなかった。
めんつゆの瓶がふたつあった。片方は封が開いてなくて、もう片方は残り少なくなっている。
半端な方を取り出して、台所のシンクに流した。瓶を水でゆすぐ。空いた場所にジュースのパックをしまった。

新品のつゆでつけ汁を作って、そばを食べた。
食べてる最中に、半端な方からつけ汁を作ればよかった、と思った。
捨てなくてもよかった。
変な気持ちになったけど、気にしていない風を装った。
食べ終わった皿を流し台に持って行くと、ついでにチョコのお菓子を手にしてベッドにわざと勢いをつけて飛び乗った。


髪飾りに、金のつぶつぶの模様が付いている。
よく見たいと思って、部屋を暗くした。
あとから思ったけど、よく見るためなら部屋を明るくするはずなのに、確かにその時はよく見るために電気を消した。

金のつぶつぶは星みたいだった。
愛おしむ気持ちで、つぶつぶを指でなぞった。
まわりの音が急に聞こえなくなった。
今この場所で、自分しか知らない時間が流れているということを感じた。

カーテンが開いてる。
掌に宇宙をのせて、窓の外の健全な世界を眺めた。
しばらくして、車が燃えたり、ビルが飛んだりした。