ガラス越し

枕に顔をうずめたまま、ごめんなさいと言った。気づかないふりをしていることに気づいている。ごめんなさいと言った。自分が悪いことにした。ごめんなさいと言った。罪悪感を人に擦り付けるように、闇雲に。ごめんなさいと言った。私は可哀想。


長靴を履いて外に出た。色を失った世界は、望まなくても私をひとりぼっちにしてくれる。広すぎる視界は選択肢を奪い取り、勝手にしろと突き放す。遠く続く地平線に閉じ込められている。住む人はあたたかそうな顔をしているが、冷たい街だと思う。

薄暮の空を見上げた。暗く赤みを帯びた雲が流れる。そんなに寂しい色をしていないで。きれいなところだけ切り取るのをやめてほしい。よく見えることは良いことばかりではない。受け止めきれない寂寥感をはらんだ景色から逃げ出すように、眼鏡を外して目を背けた。なぜ、乾いた冬の空気はまつ毛を濡らすのか。かじかむ手に白い息を吐き出した。