記録

自室のベッドで昼寝から覚めたときのことである。窓の外が暗くなってきているのが見えて、随分長い昼寝をしてしまったなと思い体を起こそうとした。そのときにはすでに、何者かがそこにいた。
私は何者かに長いスプーンのような金属の棒を陰部から挿し入れられ、腹の中を抉られていた。驚くことさえせず、冷静に、自分の肉や内蔵を掻き出される様子を私はただ黙ってながめていた。金属の冷たい感覚はしたが、特に痛みは感じなかった。相手がだれなのかはこちらからは見えなかった。私は気を失ってしまった。
そのとき目の当たりにしたイメージははっきりと脳裏に焼き付いていて、たびたび鮮明に思い出す。その日からなにか体の中にあるべきものが欠けてしまったかのようにスースーとする感じがするし、たまに痛いような気がする。

 

部屋の床に3センチほどの四角い物体が落ちていた。つやつやとした黒い色をしている。よく見ようとして瞬きをすると視界から消えてしまった。何気なく視線をカーテンに移すと、再びそれは現れた。はじめは虫かと思ったがいつまでも動かないので生き物ではないようだ。しばらくして、消滅した。
この現象は、様々な場所で数日おきに起こり続けている。

 

夜、眠ろうとしたとき、部屋の蛍光灯のあかりを消す紐をひっぱると天井が抜け落ちた。埃が舞ったり、蛍光灯の破片がそこら中に飛び散った。
腐っていた天井の木材と一緒に、人間の死体が落ちてきた。かなり干からびていていて、誰なのかも男か女かも分からなかった。その時は眠たくてしかたがなかったのでそれらはそのままにして寝た。
朝になると私が目覚める前に誰かが天井と蛍光灯を直してくれていたので元通りになっていた。