時間の話

私は何か作業をするときによく音楽を流しながら取り組む。時計を見る必要が減る。例えば約5分の曲を繰り返し流し続けるとする。おおよそ5分間を区切りとして行動することができ、なんとなくだが時間の使い方が上手になったような気になる。次終わるまで休憩。3回リピートし終わるまでここまで終わらせる。
通勤するときは好きな曲を集めた54分12秒のプレイリストを流していて、するとだいたい5曲聴いたところで目印になる店を通過し、最後の曲が流れ始める頃に職場のそばに着く。その曲を聞き終えてから出社する。
もちろん常に音楽を流し続けていられるわけはない。まさにしーんという擬音が聞こえてきそうなほど静かな時間を過ごすことがある。そんなときにふと、無音というのは良くないと思った。時間が無限にあるように感じてしまう。逆にこの時間がなんの合図もなしに突然終わってしまうような気もする。もしこの苦痛が永遠に終わらなかったらどうする。もしこんなにしあわせな、ずっと続いていてほしいとさえ思う夢から一瞬で目覚めてしまうようなことが起こったら。時間というものが途端に怖くなる。
そもそも、私は時計をなるべく見たくない。嘘の時間を知らせてくるから。見るたびに違う時間を示すが、一体それは本当なのだろうかといつも疑問に思う。ほんの数秒間目を離した隙に、平気で30分後の時刻に切り替わっていることがしばしばあるではないか。
知っている。時間は誰にでも平等だなんて嘘なのだ。昨日読んだ雑誌に書いてあった。