ジギタリス

後悔をしたり母のことを考えたりするのっていつまで許される行為なんだろう
誰の話も聞きたくないと思いながら、気づけば人の真似ばかりして生きてる
いいんだよ
それはほんとうは肯定ではなく、単なる諦めだった
こだわりなんかないのに、机の上のコースターの位置をやたら気にしたりする
なんの暗喩でもないから、読み取ろうとしないでほしい
私はそこまで頭がよくない
どっちが順路かわからない
左向きの矢印にしか従えない
おやすみのかわりに、ありがとうと言ってから眠った
きょうも醜い自分をごまかす
白く光る横顔がうれしそうで、さみしかった
忘れてもいいし、許さなくてもいいよ
何もかもを捨てた私を、信じられなくてもいいよ
こみ上げる言葉、愛の言葉を飲み込んだ
弱い背中に気付いてほしかった
夏がはじまる前に、思い出す前に
嘘をつきすぎたこの街に、最後の嘘を置いていく
空がきれいでそれだけで、まるで思い出みたいに居座る
空っぽのままでいられたら済んだ話を、辿ることを選んだ自分への罰
明日は来ないよ
死ぬまできょうを繰り返すんだよ