私ってだれ

冷蔵庫の中のレモンサワーが私の残機みたいだった。またきょうも1機減っていく。お酒を飲んだら気持ち悪くなって、ついに体がアルコールを受け付けなくなってしまったのかと憂慮したが、それはただ単に胃に何も入れない状態で飲酒したからかもしれない。飲み切れなかったレモンサワーの炭酸の音を、しずかに聞いていた。
いつの間に4月26日の朝が来ていたんだ。ベッドで横になっていたら5時になっていて泣きそうになった。カーテンの隙間からこぼれた群青色が、姿見に反射して光っていた。6畳の部屋がたちまち閑寂とした空間になる。視界がゆがんでドアまでの距離が遠のいて見え、ありえないほど広く感じる。
ぼやける視界に目を擦ると、目からピンク色のガラス片が出てきた。なにもかも綺麗なんだ。こんなにどうしようもない生活をしていても。人びとが起きて出掛けていくころ、私はガラス片で手首を切った。